「おしどり手帳」

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<<   作成日時 : 2008/03/17 04:11   >>

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星を継ぐもの。
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アタイには91歳の祖母がいる。
もう1ヵ月以上入院していて、アタイが病院に様子を見に行くと、いつも可愛らしい笑顔を見せてくれる。
けれど祖母は目に見えて衰弱し、小さい身体は更に小さくなって、ぼんやりすることも多くなった。
常に身に付けている結婚指輪と、細くなってしまった指との隙間が大きくなっていくのを見ると、
話し掛けることくらいしか出来ない自分を情けなく思う。
元気だった祖母が弱っていく姿を直視するのは、やっぱり辛い。
でも、自分の親だって、旦那だって、そして自分自身も、誰にでも「老い」は必ず訪れる。

30歳を過ぎてから、色々と考えることが変化してきた。
今までだって何も考えていなかった訳じゃないが、自分の両腕の中にスッポリ入るような
狭い範囲のことばかりを考えていたように思う。
アタイを守ってきてくれた大切な人たちを、もっと大きな手で守りたい。
だからアタイは現実を正面から受け止めて、もっと強くならなければならない。

病室に行く度に祖母は「早く子どもをつくれ」と繰り返す。
いつも気に掛けていたアタイの子どもの顔が見たい。その気持ちも切ない位に分かるんだ。
恐らく祖母は「自分が生きているうちに」と考えているんだと思う。
アタイは「分かったよ。だから早く元気になって楽しみにしてて!」と答えて安心させる。

嗚呼、ごめんよ。まだ、やり残していることがあるんだよ。だから、あと少し待っていて欲しい。
以前テレビで観たんだが、人間のミトコンドリアDNAは100%「母性遺伝」するらしい。
そうなると、アタイは父親のミトコンドリアゲノムは受け継がず、母親のものを受け継いでいるという理屈になる。
更に母親は、祖母のミトコンドリアDNAを100%受け継いでいるのだから、
祖母とアタイは全く同じミトコンドリアDNAを持っていると言える。
女だけが延々と受け継いでいる同じミトコンドリアの神秘。それを思う度、母系を強く意識する。
自分も繋いで行きたいと。

子どもをつくるか、このまま芝居を続けるか。両方と答えるのは欲張り過ぎなのだろうか。
どちらかを優先する場合には、どうしても片方を先延ばしにしないとならない。
どちらも同時に手に入れたいと思うアタイは、不安定に揺らいでばかりだ。

もう少し時間が欲しい。アタイの命を少し削って、祖母に譲れたら良いのに。

(チキン)

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